奈良林 先ほど重要なご声援・ご指摘をいただいた通り、原子力の安全性については、次の世代も含めて何百年も続いていくものだと思います。高レベル放射性廃棄物についても、100年、500年という単位で考えなければなりません。現在は、建物に保管する技術が確立されています。ただちに埋めるのではなく、建物で保管できる40〜100年をかけて科学技術を進歩させ、評価をして、いろいろな方々とディスカッションをして、海外の埋設処分方法なども踏まえて安全性を担保し、合意形成を図っていくことが必要だと思います。
3.11のあとにも関わらず原子力を学びに来てくれている学生たちに対しては、どうしたら原子力発電所の安全性を確保できるかを教え、将来の英知を見続けていかなければならないと思います。今日いただいたご声援は非常に嬉しく、涙が出そうになりました。ただ、それは「しっかりやってほしい」という叱咤激励であると認識しております。先ほど「原子力はコントロールできないでしょう」というご意見もありました。確かに福島の事故ではコントロールを失っていましたが、電気がなくてポンプで冷却水が入れられない、バッテリーが切れてバルブが開かないという、本当に些細な準備ができていなかったことが原因です。真剣に検討し、準備しておけば防げた事故でした。
万一のことが起きても、きちんと備えを用意しておくことが必要だと思います。安全性を高める研究については、私だけでなく世界中の多くの人が取り組んでいます。仮に日本から原子力がなくなったとしても、韓国や中国、サウジアラビアなど、日本の技術を必要としている国がありますから、世界に向かって情報を発信していかなければならないと思います。
私は今年5月、ロシアのモスクワに行きました。「福島の事故はこうだった」「フィルターを付けないとダメだ」と言ったら、500人の専門家が「ロシアの全原発にフィルターを付ける」というのを大会宣言に入れてくれました。そのように、世界に向かって安全性を高める情報を発信することが重要です。今日は私の話を聞いていただき、ありがとうございました。 |