北海道エナジートーク21 講演録

 
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エネフィーメール21
 
北海道エネルギー環境教育研究委員会

'10「原子力の日記念フォーラム」これからの原子力を考える
【第二部】 地球温暖化対策と原子力

(9-9)

原子力への安心を高めるために

宮崎 では、双方向で会場の皆様からご質問をいただきたいと思います。

 

来場者A マスコミや原子力の問題が上がりましたが、私はやはり教育の徹底がなされていないところに原因があると思います。見えるものよりも「見えないもの」を大事にするような教育を、子どものときから家庭や学校でやっていただきたい。見えないものに対する感謝を教育の中に取り入れれば、先はそう暗いものではないと思いますがいかがでしょう。

 

宮崎 では小沢さんにお願いします。

 

小沢 見えても見えなくても、子どものころから、人は一人では生きられないし、周りとちゃんとお話をしなければいけない。それは教育というよりお付き合いですよね。そういう訓練を過剰なほどやっていかないとダメだと思います。

 

橋本 パネリスト  指名されていませんが(笑)、いまのご発言についてまったくそうだと思い、「想像力」という言葉が思い浮かびました。見えないけれども、隣には飢えで苦しんでいる人がいる。自分はいま幸せだけれども、不幸せになっている人がいるかもしれない。そういうことを想像できることが非常に大切だと思う。見えないけれども、世の中にはいろんなものがあるんだということに思いを馳せられる感受性ですね。まさに膝を打つような感じを受けました。

 

宮崎 ありがとうございました。次の方にお願いします。

 

来場者B 単純なお願いごとです。奈良林先生からご説明いただいた資料は大変具体的でした。メモすることができませんので、後日ホームページなどに出していただけないでしょうか。また、今日のお話で初めて知ったのは、チェルノブイリ事故は日本では起きないこと、スリーマイルアイランド事故では放射能は出なかったということです。どちらも同じ原子力事故だという程度の認識しかありませんでした。先ほどのスイスの話など具体的な資料がたくさんあったので、何らかの便宜供与をいただければありがたいと思います。

 

奈良林 ありがとうございます。北海道エナジートーク21のホームページに掲載させていただきます。

 

宮崎 では最後の方にお願いします。

 

来場者C 原子力発電について反対する人はまだ多く、そういう方々はご自分の家で使う電力を30%以上節約してから反対されたほうがいいのではないかと常々思っております。こういう会場でも私の近所でも、そういう話はあまり出たことがなく、私が言ってもあまり賛成してもらえません。橋本先生、私の意見についてどう思われますか。

 

橋本 私は半分賛成です。しかし、電気に頼る生活をしているけれども、一方では原子力に賛成できないという気持ちはあると思うんです。そういう自然な感情も大切です。いや、半分じゃないですね。もう少し賛成です(笑)。

 

小沢 私は原子力に賛成をしているから、洗濯機もテレビも電源を抜くし、家を出てくるときにそのままにするのはファクシミリだけです。電気はケチケチモードで節約しています。待機電力の話を聞いてから、本当にやっていますよ。でも、原子力に反対している友だちの話を聞いたら床暖房を使っていて、それでいつもケンカするんです(笑)。お金がかかると皆節約するから、しばらく節約傾向は続くかもしれませんよ。

 ただ、私は自分のしていることを押しつけはしませんが、「こういう理由で原子力がないとやっていけないと思うよ」という話を至るところでしています。

 

奈良林  「見えないもの」について話が出ましたが、原子力発電所で働いている人たちも見えない努力をしています。それから、放射能は目に見えないという理由で怖がる方もいらっしゃいますね。

パネリスト  大学の工学部に入った学生には、原子力のしくみや安全な運転に関する講義をしますが、やはり大事なのは、小・中・高校から放射線や原子力発電所について興味を持ってもらうことだと思います。そういうところから原子力に対する興味が湧き、将来を担う人材を育成することができると思います。

 

宮崎 ありがとうございました。まだまだご意見はあると思いますが、ぜひアンケートにご記入をお願いします。では、最後にまとめのコメントとして、未来に向けたメッセージをお願いします。

 

橋本 私はずっと政治記者としてやってきましたから、政権や政治家がどうあるべきかを考えます。そのうえで、現在の政権に一つ希望があります。従来の政権と決定的に違うのは、理科系の人が総理大臣になっていること。鳩山さんも菅さんもそう。でもそれが生かされていないですね。ご自分が学んできたことをもう少し生かしていただきたい。総理大臣2人だけではなく、閣僚にも理科系の人がずいぶんいます。それを生かしながら、もっと政治の世界で国民に対して責任ある啓蒙活動をし、指導力が発揮できるようにしてほしいと思います。

 

小沢 つい先日ですがNHKの特別番組を見ました、昭和45年ころ、日本が本気で核兵器を開発しようとしたことがあるそうです。あまりに具体的な話なので、本当だったのでしょう。びっくりしましたよ。いまから40年くらい前に、そんなことを内緒でやろうとしていたなんて。そういうことがあると、誰が権力を握り、命令を出し、計画を立てるのかが極めて重要だと思います。私たちの知らない間にそんなことが進められたら、怖くてしようがない。奈良林先生のようないい方は、世の中が皆いい人だと思って研究なさるのでしょうけど、どうか悪用されないように宜しくお願いします(笑)。

 

宮崎 それを監視するのが市民の役割ですね。

 

小沢 そうです。だから安心ばかりしていてはいけないんです。

 

宮崎 では、いい方、お願いします(笑)。

 

奈良林 私は原子力発電所のさまざまな設備機器の開発に27年間携わってきましたので、本来、原子力発電所の炉心に蓄えた放射能は危険なものだと思っています。それをしっかり閉じ込め、安全に発電に使うことが重要です。その平和利用について学生たちにきちんと教えたいと思います。また、国民に情報を公開し、核兵器に利用されないようにするべきだと思います。

 核兵器かどうかは簡単に見分けられます。先ほどお話ししたウラン235を3〜5%の濃度まで濃縮すれば、これは平和利用です。原子爆弾は100%まで濃縮しなければなりませんから、そうなると核兵器を作ろうとしているわけです。それについては、IAEA(国際原子力機関)がきちんと監視していかなければなりません。

 また、海外の原子力発電所に行って、構内を走るマイクロバスに乗ると、隣にブロンドの美しいお嬢さんが乗ってくることがあります。腰にショットガンを持っているガードマンです。もしも私が破壊活動をしようとしたら、すぐに撃ち殺されるでしょう。海外ではそれだけセキュリティが徹底している。日本は犯罪が少なく安全な国だといわれていますが、いろんな面で注意を払っていくことが必要です。それを一般の皆さんにきちんと示して、我々も心を引き締めて研究や学生の指導にあたりたいと思います。

 

宮崎 ありがとうございます。今日のタイトルは「これからの原子力を考える」でしたが、考えたのは文化であり、この国の形であり、これから人類がどう生きていくかという問題につながる大きなテーマだったのではないかと思います。最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

会場の様子
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