北海道エナジートーク21 講演録

 
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エネフィーメール21
 
北海道エネルギー環境教育研究委員会

'10「原子力の日記念フォーラム」これからの原子力を考える
【第一部】 世界情勢からみた日本のエネルギー問題

(7-6)

世論が原子力のイメージを左右する

橋本 小沢さんがおっしゃる通り、日本には「原子力=原爆」という被爆感情がずっとあります。しかし、それについては分けて考えなければなりませんね。また、世界の中で日本はいまどんな状況になっているかについて政治家が国家目標を示していない。なぜかというと、選挙のことで精いっぱいだからです。

先ほどのお話のように、このままいくと地球全体がおかしくなってしまう。ただし、新興国には新興国の立場があります。「自分たちが発展するときは何も制限しないで、我々がいま発展しようとするときに押さえつけるとは何事だ」と。だから先進国も新興国も、お互いに譲り合わなければならないと思います。

 また、原子力に関する国民への説明のしかたは、できるだけ具体的なほうがいい。太陽光は確かにクリーンなエネルギーではあるけれども、私たちがいままでのような生活をしている限りは無理なんです。将来に向けて推進していくとしても、当面どうしなければならないかを考えたとき、原子力に着目せざるを得ないのが現実です。

 例えば日本の原子力発電所の稼動率を見ると、2009年は65%。1998年に85%でしたから、稼動率をそこまで引き上げれば、温室効果ガスの排出量は5%削減できるそうです。それから、2018年までに新設予定の原子力発電所9基をきちんと動かすことで、さらに3.5%削減できるそうです。

 私たちがいまの生活を維持するならどうしたらいいか、その選択肢は限られていることを具体的に説明したうえで、エネルギー問題を解決するための道筋を示すべきだと思います。

グリンピースの創始者が原子力を支持

 

奈良林 ちなみに、グリーンピースの例をご紹介します。この人たちは真剣に環境問題を考えている団体で、いままで原子力にいちばん反対していました。ところが最近、その創始者が「環境への影響を考えたときに地球を救うのは原子力エネルギーだ」と気づき、原子力を支持するようになりました。原子力を太陽光や風力と組み合わせて使っていくべきだと提唱しています。

 

小沢 「二酸化炭素を出さないエネルギーがいい」という話が盛り上がってきたのは、割と最近ですね。それで原子力が急に元気になった。それまでは反対運動が強く、特に高レベル放射性廃棄物をどこに処分するかについては話がなかなか前に進んでいません。

 ところが京都議定書以来、「さあエコだ、二酸化炭素削減だ」という機運になって、原子力に対するそれまでの国民感情も消えてくれたらいいと期待しているかのようです。先ほど私が言った「原子爆弾と原子力を一緒にしてはいけない」という話などもそうですが、そもそも原子力に対する日本人の感情とは何なのか、それをどう解決したらいいのかについて、政府はまったく取り組まないままですね。日本における原子力のあり方がまともに討論されていないのに、よその国に売りに行ったり武器を作ったりする話になって、国民が反対したらどうするのでしょう。

 こんな小さい国なんだから、大事なことはもっとまじめに討論しないと。エネルギー問題については、もう少しきめ細かく説明しながら進めないといけません。最近、いろんなことが荒っぽすぎると思います。一つのことがまとまらないうちに、次々と物事が進められてしまう。その代わり、何か起きるといつも一人の人間を徹底攻撃して終息させようとする。そんな風潮が当たり前になっていたら、二酸化炭素のことだってまじめに考えなくなっちゃいますよ。

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