橋本
いま最も求められているのは、政治がどのようにリーダーシップを発揮するかだと思います。
先日の小惑星探査機「はやぶさ」のニュースは私たちに大きな勇気を与えてくれましたね。3億kmも離れたところに行って7カ月間くらい行方不明になり、それを探し出した。隣の家のおじいさんがどこにいるかもわからないこの時代にあって(笑)、私たちに大きな感動を与えてくれました。
そこで、「はやぶさ」のプロジェクトマネージャー川口淳一郎さんにお話を聞きました。専門家集団をどうまとめたのかと聞いたら、ポイントとして3つ挙げていました。
1つは目標・目的が明確であること。太陽系の小惑星「イトカワ」に行って星のかけらを持ってくるという目的は一貫していました。2つめは、リーダーがぶれないこと。どんな困難に遭っても揺るがないこと。3つめは、若い人たちのさまざまなの意見を取り入れ、採用すること。
これらを日本の政治に当てはめるとどうでしょう。地球温暖化問題では、二酸化炭素排出量を25%減らそうという目標ですが、「とてもそんなことはできない」という声をよく聞きます。確かに目標値の是非論はありますが、北海道洞爺湖サミット開催時にあったあの盛り上がりが失せていることのほうが気になります。
政権交代後、政府は25%という削減目標を打ち出した。その後内閣が替わった。菅首相は先日の所信表明演説でこう言っています。「気候変動問題については、COP16に向けてすべての主要国による公平かつ実効的な国際的枠組みを構築するべく、米国・EU・国連などとも連携しながら国際行使を主導します」。
つまり、アメリカ・ヨーロッパ・中国は対立して三すくみになっていますが、その中で日本は他国をリードしながら決めていくと宣言したわけです。しかし、具体的に何をやっているかが聞こえてきません。聞こえてくるのは政治とカネの問題ばかりです。これから地球をどうするかという問題は一体どこへ行ったのでしょう。25%削減目標も、打ち上げたはいいが、はしごを外された格好で後が続かず、宙に浮いている感じです。いま大切なことは、直面する問題を解決すること。ずっと先をにらみながらも、自分たちが何をするべきかを政治の責任において明確にすることです。
2年前の北海道洞爺湖サミットでは、あれだけ盛り上がりましたね。「水道の蛇口をちゃんと閉めましょう」などを日常的に呼びかけていた。でも、いつの間にかどこかへ行ってしまった。それは国民の問題でもありますが、いまこそそういう意味で、地球温暖化問題に対する揺るがない政治の意志を示さなくてはいけないと思います。
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