内山

再生可能エネルギーの電力効率を比較すると、一番すごいのは水力発電で、90%以上の効率があります。火力発電所が43〜55%ですから、水力発電は圧倒的に効率の良い技術です。原子力発電は33%、バイオマス発電はガス化すると35%ぐらい。風力は30%です。太陽熱が25%程度、太陽光が15%程度ですね。波力だと4%、海洋温度差は3%程度の効率です。
つまり何を言いたいかというと、希薄なエネルギーというのは変換効率がものすごく悪いということです。だから、設備だけ大きくなってお金がかかるんです。そういう技術を導入するのであれば、費用負担を皆で考えないといけない。そういうことをぜひ理解していただきたいと思います。

発電プラントの建設単価がどうなっているかについてですが、kW当たりでは原子力は25万円、石油火力が18万円、LNG複合が15.5万円、石炭火力が26万円、水力が55万円、太陽光が60万円、風力が30万円。いろいろな努力で格差を縮めていますが、ここで大事なこととして、建設はkW単価ですね。

ところが、発電してkWhにしたとき、この費用がどのくらいになるかを計算してみます。このときは設備利用率が重要です。
原子力や火力は75〜80%で1年間稼働しますね。ところが太陽光は天気任せなので、せいぜい15%。風力もせいぜい20%程度。風任せで燃料ではないですから。
同じ電力を作るのに必要な設備単価はいくらかというと、下の表ですが、原子力が25万円、水力は80万円、太陽光は320万円。風力は120万円になってしまいます。この分を燃料費でカバーします。もちろん原子力は燃料費がありますから、核燃料サイクルコストなどを企業でカバーしなければなりません。補って、採算が合うようにしなければならないということ。
火力は設備単価が安く、石油火力が19万円、LNG複合が17万円。石炭火力はちょっと高く28万円です。これは燃料費が別途あるので、それで他の技術と折り合いがつくようにしていかなければなりません。
ところがどう見ても、今の状況では水力も太陽光も風力も高い。化石燃料が安すぎるのか、原子力の燃料費が安すぎるのかという問題もありますが、現状はそういうことです。

これは、去年のコスト等検証委員会から出された主要電源の発電コストです。その結果を見ても、今回の事故の費用を外部コストに入れても、原子力が火力並み。それに対して再生可能エネルギーはかなり高いコストになってしまいます。どこでもこういうコストでできるというのではなく、一つの参考例として提示されたものです。

供給に変動があるという点では、言うまでもなく夜には太陽は照らず、晴れの日はいいですが、曇りの日や雨の日はほとんど出力がありません。風力は風が吹かなければ出力がなく、常に変動があります。安定供給するためには、供給力としての能力がないので蓄電処理をしなければいけない。
蓄電池は各設備と同じコストが新たに必要なので、さらに安定供給のためのコストは高くなります。これもなんとか工夫して高い費用で電気自動車を併用し、スマートグリッド、スマートシティなどが盛んに研究されているので、付加価値の高いものと組み合わせて導入を工夫していくことが必要です。
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