内山

そうした中で、日本もオイルショック以降、長い期間にわたって努力してきましたが、原子力の事故を機に、前政権において「革新的エネルギー・環境戦略」が作られました。
この中での3原則は、原子力を絡めた方針です。そして、グリーンエネルギーを中心にさまざまな政策資源を投資しようと。節電・省エネはもちろん、再生可能エネルギーの導入を2030年までに3000億kWh、現在の日本の総電力消費量が1兆kWhですから、約30%を再生可能エネルギーで賄おうという目標を作ったわけです。
12月に新政権となってからは、こうした目標について見直しを検討している最中です。

その目標がどうなっているかについてご説明します。
上段の太陽光発電では、現在90万戸の家に38億kWhの電気を供給していますが、それを、ここにあるシナリオに基づき増やしていこうという計画です。真ん中の「15シナリオ/20〜25シナリオ」で見ると、約11倍に増やす計画。右側の「ゼロシナリオ」、つまり原子力をゼロにした場合で約13倍に増やすという目標を掲げているわけです。
下段の風力発電ですが、最初のシナリオではおよそ16倍増やそうと、さらに原子力ゼロの場合は21倍に増やそうという考えで、この辺は数字合わせの世界です。現実的に数字を達成できるかどうかはわからないけれども、そういう目標を掲げないと、とても原子力からの脱却は難しいということで作られたものです。

さて現状はどうかというと、それほど日が経っていないので正確なデータのトレンドが読めないところがありますが、これが総エネルギー統計から作成してみた最新データです。
2008年に起きたリーマンショックで電力消費がかなり落ち込み、その後2009年になって回復し始めました。そこに来て、2011年に東日本大震災が起きて、また電力消費が落ち込んできたという流れがあります。
それによって原子力は停止状態になっていて、それまでエネルギー全体の15%の供給力であったのが、4%まで落ちています。それをどうやってカバーしたかというと、実はほとんどが天然ガス、次に石炭です。残念なことに新エネルギーは設備投資産業ですから、なかなかカバーしきれない状況にあります。

これは新エネルギーの導入実績です。2010年のデータで見ると、日本の一次エネルギー総供給の3%程度です。しかし、「その他」にあるように太陽熱利用、廃棄物熱利用、未利用エネルギーなどが半分程度を占めていて、太陽光は新エネルギーの3.5%、風力は5.5%。まだまだ主要電源になるような状況には至っていません。

太陽電池は生産量が年々増えています。左のグラフは太陽電池の年間出荷額ですが、青が国内出荷、オレンジが輸出用で、半分くらいを輸出が占めています。このように年々生産量が増え、日本の技術力として経済を活性化していくことを期待したいですが、量的には大したことがなく、これからさらに増やすことが必要だと思います。

これは風力発電導入量で、現在までの累積は261万4千kWです。最近気になるのは伸びが減速し始めていること。風車の立地条件として、いい場所がなかなか見つからなくなってきているという状況です。
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