北海道エナジートーク21 講演録

 
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エネフィーメール21
 
北海道エネルギー環境教育研究委員会

'11新春講演会『地球温暖化問題の今』
【第一部】 講演〜地球温暖化問題の今〜

(6-6)

地方にも痛い環境税

 

90年比▲25%ケースの都道府県別の光熱費・ガソリン代の年間収入当たりの負担増分

 青色の棒グラフは、所得に対してどれくらい負担が増えるかを表しています。北海道と東北は高いほうで、青森県が一番高いですね。赤で示した折れ線は、比率ではなく何万円減るかという絶対額で、一番影響を受けるのは富山県です。逆に、東京や大阪など都市部は被害が少ないですね。

 あまり知られていませんが、25%削減が所得層の格差を拡大させてしまうこと、地方により大きな負担を生じさせること、この2つは非常に大きい問題だと考えています。

 特にアメリカでは「税金を取られる」というのを嫌がり、「自分が払っている」という意識が強い文化なので、自分たちの税金がどのように使われるかについて非常に敏感です。だから、アメリカではすぐにこういう分析が研究機関や政府機関、議会の調査機関から発表されるので、それぞれの州で「うちの州が困るじゃないか」と反応する。

 例えば、北海道電力では石炭火力が多いはずですから、他の地域に比べて電気料金が上がりやすくなると考えられます。しかし、こういう話について、あまり情報が広がっていないのです。

 環境問題は、経済問題、所得分配の問題と切り離せません。そのようにとらえると、認識が違ってくると思います。

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もっと国民に具体的な情報提供を

 

地球温暖化対策の国民負担に関する内閣府世論調査

 皆さんは「温暖化問題を何とかしなければいけない」という善意をお持ちだと思います。さて、ご自分の家庭で地球温暖化対策のために、追加的にいくらなら払ってもいいですか。月1万円払ってもいいという方は? 月5,000円まで、2,000円まで、1,000円未満の方は?

 国民がどう考えているかというと、「月1,000円未満」という方が60%。「2,000円未満」の方も合わせると85%です。平成20年と21年、同じ時期に同じ質問をした結果、ほとんど数字が変わりませんでした。

 「いくらなら負担してもいい」という自分の感触と、政府が進めようとしている環境税などの負担分が「だいたい見合っている」と思う方は賛成すればいいと思います。それ以上やらなければいけないと言われたら、「ちょっと待ってくれ」と言えばいいわけです。

中期目標への評価

 1年半前の麻生政権のときに麻生さんは「2005年比15%削減」という目標を打ち出しました。これを1990年比に置き換えれば8%減、つまり鳩山さんの出した目標の3分の1くらいの数値でした。

 左側は、麻生さんが目標を打ち出した直後に、朝日新聞が世論調査を行ったときの結果です。麻生さんの言う「15%削減が妥当か」という問いに対して「妥当だ」と答えた人が約5割いました。

 ところが、ほとんど同じ日に取った共同通信の世論調査では違う結果が出ています。実は麻生さんが15%削減目標を打ち出したときに「国民負担は年間76,000円になります」とスピーチで言ったわけですが、共同通信ではその数字も入れて「年間76,000円かかるけれども、15%削減は妥当か」と聞いたら、「削減幅が大きすぎる」と答えた人が約6割もいました。

 先ほどのアンケート調査では、月当たりの負担分が「1,000円未満」と答えた人が多かったですね。年間76,000円というのは月6,000円強ですから、具体的な負担額を示せば反対する人が増えるのは当然です。

 25%削減目標に対する経済影響への試算について、民主党政権になってから約1年半の間、政府は具体的な負担額を示していません。だから、賛成か反対かを国民が判断する基準がない。もっと政府から、具体的な負担について提示するべきではないかと思います。

 時間が来ましたので、このあたりで終わらせていただきますが、何かご質問がありましたら、第2部のパネルディスカッションでお受けしたいと思います。ご清聴をありがとうございました。

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