北海道エナジートーク21 講演録

 
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エネフィーメール21
 
北海道エネルギー環境教育研究委員会

'11新春講演会『地球温暖化問題の今』
【第一部】 講演〜地球温暖化問題の今〜

(6-4)

私たちは生活レベルを半減させられるか

 

▲25%削減というのは、実質▲?%削減!

 1990年比25%削減というのが日本の目標ですが、「1990年比」というと、皆さんピンとこない。25%削減目標は2020年に達成することになっていますが、1990年というのは今から20年も前。20年前にどんな生活をしていたか、すぐに思い出せる方はなかなかいないでしょう。25%削減と聞くと「今からエネルギーを4分の1減らせばいいのかな」と思うでしょうが、そうではありません。

 先ほども言ったように、家庭部門のCO2は1990年に比べて4割も増えています。ということは、この図では赤色の線のように減らさないといけない。つまり、半分にするということです。例えば皆さんの家でファンヒーターを2つ使っていたら、片方は倉庫にしまってください。あるいは、家電製品を使う時間を半分に減らしてください。25%削減目標というのは、そういう行動を求められていることになります。本当にできるのか、非常に難しいと思います。

 家庭部門で4割も増えたのは、家電が増えるなど生活がどんどん快適になってきたからですが、25%削減目標の下では、こうしたものを使わなくするか、使う時間数を減らすなどして節約しなければならない。この目標が国際的な義務になったら、国内でも厳しい制度が導入されるでしょう。こういう制度が、例えば環境税や排出権取引なのです。

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25%削減による経済への影響

 

 技術革新がなければ、経済の活動レベルを減らす、つまり家庭では生活の快適さをなくさないとCO2は減らないわけです。各国が同じような負担をするのであれば、「私たちもやらなければ」と思えるのかもしれませんが、日本が高い目標を掲げても、他国が日本に倣ったかというとそういうことはありません。

国・地域別の総付加価値額(GDP)ロス(25%ケース)

 この図は、日本が25%削減目標を達成するうえで、経済がどれだけ悪くなるかを試算したものです。各国の中で圧倒的に日本だけが悪くなるというのが我々の試算です。

 電気などエネルギーの料金が上がり、他に消費できるお金が減ります。だから経済は悪くなり、失業も増える。そういうメカニズムで経済の悪化が生じるわけです。

25%ケースそれぞれの産業別の付加価値額ロス(ベースライン比)

 特に産業界を個別に見たときに、一番打撃を受けるのは素材産業などのエネルギー多消費型産業です。エネルギーの値段が高くなるからです。エネルギーといっても、原子力はCO2を出さないので例外ですから、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料の値段が高くなります。

25%ケース素材産業の付加価値額ロス(ベースライン比)

 素材産業の中では「紙・パルプ」が一番大きな影響を受けます。先日、製紙連合会でこの話をしたところ、皆さん驚いていました。

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