北海道エナジートーク21 講演録

 
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エネフィーメール21
 
北海道エネルギー環境教育研究委員会

'11新春講演会『地球温暖化問題の今』
【第一部】 講演〜地球温暖化問題の今〜

(6-3)

CO2はオフィスや家庭で増えている

 

我が国の温室効果ガス排出量について(1)

 リーマンショックによる不況が大きな要因でCO2排出が減り、京都議定書の日本の目標は何とかなりそうです。でも、発電時にCO2を出さない原子力発電所が地震等で止まったりすると、石炭火力や石油火力発電を使わざるを得なくなり、すぐにCO2が増えてしまうこともあります。このように、温暖化問題に取り組んでいく以上、原子力発電所はどうしても必要で、効果の高いものですが、日本が負おうとしている25%の削減目標は、この効果の高い原子力発電所が計画通り建設されたとしてもさらに足りず、何らかの努力をしないといけないような高い数値です。

我が国の温室効果ガス排出量について(2)

 国内でどの部門がCO2をたくさん出しているかを表したのがこの図です。「産業」のほか、自家用車や貨物自動車などの「運輸」、オフィスビルなどの「業務」部門があります。それ以外に「家庭」部門があります。

 この中では産業が一番大きいですが、1990年比ではCO2排出量が13%も減っています。ところが、オフィスビルや家庭では増えています。今後、日本が真剣にCO2を減らそうとするなら、必ず皆さんの家庭で減らしてもらう部分が出てくるということです。

 家庭が全部なくなるということはあり得ませんので、産業部門に海外に出ていってもらうという考えもあるかもしれません。しかしその場合、そこで働く方々が職を失うことになりますね。そういうことを、きちんと考える必要があります。

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国際的な法的義務が負担を生む

 

1990年▲25%削減「目標」とは何か?

 さて、鳩山前総理は1990年比25%削減という目標を掲げました。一昨年、民主党に政権交代したときに華々しく打ち出した最初の大きな政策でした。この政策には皆が拍手を送りました。国連でも拍手を受けました。

 実はこの目標は、日本の一般の方々には人気が高い。いろいろなメディアで紹介されましたが、あるラジオの討論番組で「25%削減目標に賛成ですか、反対ですか」という問いに対して、「賛成」が5割、「反対」が3割、「わからない」が2割でした。

 しかし、賛成の方の大半はこの目標を「志の高い努力目標」ととらえていました。「やろうと思っても多分無理だが、志の高い目標に向かって努力する姿勢は国際的に評価されるべきだ。だから鳩山さんは偉い」というのが理由でした。

 しかし、これはまったくの誤解です。この目標は、達成しないと罰則が生じる国際的な法的義務になる可能性があるものです。これについては「知らなかった」という方が多いのですが、25%削減目標というのは、そういう性質のものです。

 例えば企業で、ノルマと比べて実績がどうだったかでボーナスが増減するなら、ノルマを少なくしようと上司と交渉しますね。「9千万円くらいはできるかもしれないけれど、ノルマが5千万円で済めば、得をする。」と考えるはずです。実は、ロシアやヨーロッパはそういう交渉のしかたなんです。

 日本は非常に人が良くて、非常に高い目標を掲げたので、「CO2を出してもいい権利」のことを排出権といいますが、ヨーロッパやロシアはその排出権を日本に売り込めると考えて、拍手したわけです。

 日本政府が他国から排出権を買う場合、そのお金はどうするのか。皆さんから徴収する税金でそれを支払うことになります。

 実は来年度から、石油や石炭にかかる税金が上がり始めます。それがつい最近決まりました。皆さんはご存じでしょうか。増税という形で結局つけが回ってくるのに、こういうことがなかなか皆さんの耳に届いていない。これが一番の問題です。

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