
皆さんは「温暖化問題を何とかしなければいけない」という善意をお持ちだと思います。さて、ご自分の家庭で地球温暖化対策のために、追加的にいくらなら払ってもいいですか。月1万円払ってもいいという方は? 月5,000円まで、2,000円まで、1,000円未満の方は?
国民がどう考えているかというと、「月1,000円未満」という方が60%。「2,000円未満」の方も合わせると85%です。平成20年と21年、同じ時期に同じ質問をした結果、ほとんど数字が変わりませんでした。
「いくらなら負担してもいい」という自分の感触と、政府が進めようとしている環境税などの負担分が「だいたい見合っている」と思う方は賛成すればいいと思います。それ以上やらなければいけないと言われたら、「ちょっと待ってくれ」と言えばいいわけです。

1年半前の麻生政権のときに麻生さんは「2005年比15%削減」という目標を打ち出しました。これを1990年比に置き換えれば8%減、つまり鳩山さんの出した目標の3分の1くらいの数値でした。
左側は、麻生さんが目標を打ち出した直後に、朝日新聞が世論調査を行ったときの結果です。麻生さんの言う「15%削減が妥当か」という問いに対して「妥当だ」と答えた人が約5割いました。
ところが、ほとんど同じ日に取った共同通信の世論調査では違う結果が出ています。実は麻生さんが15%削減目標を打ち出したときに「国民負担は年間76,000円になります」とスピーチで言ったわけですが、共同通信ではその数字も入れて「年間76,000円かかるけれども、15%削減は妥当か」と聞いたら、「削減幅が大きすぎる」と答えた人が約6割もいました。
先ほどのアンケート調査では、月当たりの負担分が「1,000円未満」と答えた人が多かったですね。年間76,000円というのは月6,000円強ですから、具体的な負担額を示せば反対する人が増えるのは当然です。
25%削減目標に対する経済影響への試算について、民主党政権になってから約1年半の間、政府は具体的な負担額を示していません。だから、賛成か反対かを国民が判断する基準がない。もっと政府から、具体的な負担について提示するべきではないかと思います。
時間が来ましたので、このあたりで終わらせていただきますが、何かご質問がありましたら、第2部のパネルディスカッションでお受けしたいと思います。ご清聴をありがとうございました。
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