
京都議定書で対象となっている温室効果ガスは6つで、化石燃料を燃やしたときに出るCO2だけでなく、メタン、一酸化二窒素、代替フロン3ガスがあります。北海道のように森林の多いところは、木が育つことで光合成が進みCO2を吸収してくれるので、その吸収分はマイナスできます。京都議定書における日本の目標は、「1990年の量に比べて、2008〜2012年の5年間の年平均でマイナス6%」というものです。
現在、この目標を達成する見通しはあるのでしょうか。
実は、京都議定書を批准したとき、経済産業省の担当課長は私でしたが、当時は、日本も経済成長し、エネルギーを使い、その分CO2を出すという見通しだったので、この目標は達成できないと思われていました。しかし、今の見通しでは何とか達成できそうなんです。これは、リーマンショック以降の不況によるものです。経済状況が悪くなると、エネルギー使用量が減りCO2も減るということです。
地球温暖化問題は、煤塵や水質汚染、有機水銀などのいわゆる公害問題とは違い、実はエネルギーと切り離せない問題です。エネルギーは我々の生活に深く関わっていて、みなさんが家庭で灯油や電気を使うことによってCO2を出してしまっている。その点では全員が加害者です。ある特定の企業だけが悪者ではありません。そして、誰が被害を受けるかというと、これもまた全員です。
例えて言うなら、警察のようなものです。警察は皆あったほうがいいと思うでしょう。しかし、そのコストを自分一人が負担したいとは思わない。
同じように考えると、温暖化の心配のない、住みやすい地球には誰もが住みたい。しかし自分では温暖化対策のコストを払いたくない。他人が払ってくれるならそれに越したことはないと思う。こういう特徴があるために、地球温暖化問題の国際交渉をまとめるのが非常に難しくなっています。
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