私は「地球は温暖化していない」と言っているのではありません。これからお話しする、温暖化の国際交渉に関しては「地球は温暖化している。その対策が必要である」という前提で進んでいます。
つまり、このような前提の下で、温暖化対策に伴う負担、例えば過度な努力をして産業が弱くなるなどですが、そういう負担の分配を考えつつ、各国とも厳しい交渉をしているわけです。

この円グラフをご覧ください。2007年に世界のどの国がどれだけCO2を出したかを示しています。一番多くCO2を出しているのは中国で、全体の21%です。次がアメリカで20%。この2国だけで約4割です。中国やアメリカがきちんと減らしてくれないと、世界全体では大幅にCO2を減らすことはできないわけです。
日本は4%しか出していません。日本は世界で2位、3位を争うような経済規模なのに、CO2排出量は極めて少ない量です。日本のエネルギー効率がいかに良いかを表しているわけですが、別の目で見てみると、日本がCO2を25%削減しても、4%のうちの25%ですから、世界全体で見れば1%減らすことにしかならないのです。
むしろ、アメリカのようにエネルギー効率の悪い国や中国のように低効率の石炭発電所が多い国が率先してCO2を減らさないと、地球温暖化問題は解決しません。このように、主要排出国が取り組むべきという考え方が日本政府の立場でもあります。
また、右のグラフは、世界のCO2排出量が2050年までにどうなっていくのかを表しています。黄色は発展途上国、紫色は先進国です。2050年までの見通しでは、黄色の部分がどんどん増えるだろうと予想されています。特に中国のCO2が増えることによって、世界のCO2も増えていくことになります。
現在は、途上国と先進国が半々ずつCO2を出している状況ですが、2050年になると、6対4の割合で途上国のほうが多くなります。
中国でCO2が増えている大きな理由は二つあります。一つは、中国の電力の約8割が石炭火力で占められていること。もう一つはモータリゼーション。経済成長をすると車がほしくなるということですね。ちなみに、日本のような低炭素な電気なら、ガソリン車が電気自動車になるとCO2はかなり減るのですが、石炭火力で発電した電気が多い中国ではCO2の排出抑制につながり難いです。
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