澤
確かにそうですが、日本の技術には唯一の欠点があります。それは日本人の生真面目さに関係しているのですが、日本の製品は最後のギリギリの信頼度を0.01%上げるためにものすごいコストをかけていることが多いんです。ですから、日本の技術は非常に信頼度は高いですが、その分値段も高い。途上国でこれからインフラを整備していくときに、日本の技術を使えればいいのですが、途上国のほうが高い信頼度よりも安さを選ぶことが多いので、日本は選ばれず負けてしまうことが多い状況です。
もちろん原子力の場合は、信頼度よりコストというわけにはいきませんが、日本は「中程度の質で中価格」というものも開発していかないと、新興国といわれる韓国や中国、ブラジルなどとの闘いに負けてしまうかもしれない。それが日本の弱点でもあります。
安全や安心に対して、他国の人に比べれば圧倒的に日本人の要求水準は高いと思います。日本社会の一つの特徴だと思います。逆に、外からの技術は日本のインフラになかなか使われてきませんでした。日本では「消費者としていい加減な技術は嫌だ」という風潮があるからです。また、日本の技術者には誠実な人が多いということもあります。そうしたことが相互に作用して、高い技術が社会からも強く求められるし、それに対応する人材を育てようとする。それによって技術に対する期待値がまた上がる。そういう循環があるのだと思います。
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