秋 元
ここで資料をご覧ください。2050年で半減という目標を本気で達成しようとするなら、どこまで電力の構成を変え、乗用車の技術を進歩させなければいけないのかという問題です。地球環境産業技術研究機構(RITE)という日本の研究施設が試算した例を見ていただきたいと思います。
【世界の発電電力量】
(出典:(財)地球環境産業技術研究機構ホームページhttp://www.rite.or.jp)
【資料解説】 上の図は、そのまま成り行きに任せたら石炭火力や原子力、水力などがどう伸びるかというものです。下のグレーの部分は石炭です。つまり成り行きでは石炭火力が半分以上を占めてしまう。ただ、これでは炭酸ガスの量は大きく増えてしまいます。
下の図は政府が温暖化防止の長期目標としている「クールアース50」に副って半減させるにはどうしたらいいかを示しています。
これを見ると、グレーの石炭火力は2050年でほとんどゼロにしなければならない。薄いグレーも、石炭火力ですが、発生した炭酸ガスを全部地層に戻すCCS(CO2回収・貯留技術)を使うという条件付きです。石油などの化石燃料も含み、今後建設する発電所はCCSを100%近くやる。太陽光発電も9%くらいに増やし、風力発電も6%、原子力は今の4倍くらい増やします。原子力も、今の原子炉ではなく次世代原子炉を導入する。太陽、風力についてもこれだけの量をまかなうには、更なる技術革新をして、発電コストを大幅に下げないといけません。
【世界の乗用車技術選択】
(出典:(財)地球環境産業技術研究機構ホームページhttp://www.rite.or.jp)
【資料解説】
これは自動車の構成がどうなるかの例ですが、赤い部分はプラグインハイブリッドです。家に帰ってからプラグを差し込んで充電して使う電気自動車です。こういう車がクリーンな電気を使い、80%くらいのシェアを占めるようになれば、半減できる理屈ですが、なかなか大変なことです。
産業界としては、やれと言われてやれないとは言えないが、そのためには国を挙げての一大決心と技術革新が必要です。しかもこれはわが国だけでなく、途上国にも技術を移転して、政策誘導を行って、世界全体で達成しなければならない。
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