山本 では、二酸化炭素を減らすためにどうすればいいか。化石燃料のうち、石炭は非常に多くの二酸化炭素を出します。一番出さないのは天然ガスですが、それでも石炭の6割ぐらいは出します。

火力発電設備では、日本は世界のベスト5というかワースト5というか、常にランクに入っています。それだけ日本は化石燃料を多く使っているということです。原子力発電所が止まっているのでしかたありません。
こうした問題を解決するために一つ考えられるのが再生可能エネルギーですが、どの国もうまく行っていません。先ほどお話ししたように、電気代がすごく高くなるというのが問題です。

ドイツの再生可能エネルギー発電量の推移を見ると、増えていますね、設備はもっと増えています。ドイツは設備の半分以上が再生可能エネルギーになりました。発電量は3割です。しかもバイオマス、水力が多く、太陽光、風力を合わせても20%に満たない。設備はすごくあるのに発電量がそんなにないのはどうしてか。夜には太陽光は発電できません。風が吹いていなければ風力は発電できません。いつもは発電できないということです。

いつも発電できないと、どういう問題があるか。デンマークでは、風力で半分以上発電していますが、風が強く吹くと輸出しなければならず、電気が余っても捨てられません。逆に、風が吹かないと輸入しなければいけない。だから、輸出する電気は安く、輸入する電気は高い。ということで、デンマークの電気代は世界一高くなります。

これは国際エネルギー機関のデータで、アメリカ、イギリス、ドイツで、風力や太陽光が入ったら余分にどれだけお金がかかるかという試算です。なぜ余分にお金がかかるかというと、いつも発電できないから。いつも発電できない電気をうまく使うには、安定化させるための発電源や蓄電池が必要です。そういうコストを考えると、これだけかかるということです。このお金は誰が払うのかというと、電気料金で払うしかありません。ですから、発電源でいくら安くても、私たちが手元で見たときにその電気が安いかどうかは別問題ということです。

これはヨーロッパ主要4カ国の電気料金です。再生可能エネルギーが導入されたことによって電気料金がどんどん上がっていきます。イギリスが一番遅く始めましたが、上がり方がすごいですね。こういうのを見ていたスウェーデンは、「2040年に再生可能エネルギー100%で発電する」と言っていたのを、昨年の半ばにやめました。理由はコストがかかるから、ということです。
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