山本

主要国平均年収を見ても、日本はイタリアより少しましなぐらい。どうしてこういうことが起こるのかというと、産業と非常に関係しています。日本だけでなく、アメリカでもイギリスでも同じことが起こっています。

日本の平均給与の推移では、2002年450万円。1997年には467万円でした。日本では人口1億2千700万人のうち約半分が働いています。日本では高齢化が進んでいますが、働く人の数が変わっていないのはなぜか。定年が延びているから。もう一つは、働く女性が増えているからです。
この平均給与というのは約6千数百万人の平均ではなく、一年を通して働いている人を指します。日本人の3人に1人ぐらいで、約4千数百万人の平均です。これが下がり続けています。20年前に比べると年収が1割減っています。どうしてこうなったのか。
右側に、どの業種で働いているかが出ています。これを見ると、製造業で働いている人はこの15年間に200万人減りました。北海道でも同じだろうと思います。実は日本が一番景気の良かった90年代半ば、製造業で働く人は1500万人いましたが、いまは1000万人。500万人減りました。建設業で働く人は600万人から500万人。100万人減りました。この15年間に、製造業で働けなくなった200万人と建設業の100万人は、結果的に介護に行ったわけです。介護はこの15年間で雇用が400万人増えています。製造業、建設業をリストラされた人たちは介護に吸収されたわけですが、これが日本人の給料が下がった理由です。
日本人の給料を見ると、製造業が年収500万円で高いですね。建設業も高い。しかし、介護は平均より低い。ということは、給料の高い業種から人が移っているから平均給与が減りますね。非常に単純な話です。

私たちの給料が下がってくると何が起こるか。いま、日本人で「生活が苦しい」という人は61%います。「生活が大変苦しい」という3割弱と「生活がやや苦しい」という3割強を合わせると61%です。給料が下がると生活が苦しくなるのは当たり前です。これは、金儲け上手な人とそうでない人との格差が拡大しているのだろうと思うかもしれませんが、日本は違います。
いま、国民の85%が老後に不安を感じています。日本で働く人のうち、年収300万以下の人は40%を超えています。

では、格差が拡大しているからお金を儲けている人が増えているのかと思うと、年収1000万円以上の人は1997年に5%以上でしたが、いまは5%を割っています。みんな給料が下がっているので、生活にゆとりがある人は国民の3%ぐらい。これは格差が拡大しているのではなく「一億総下流化」。日本人がみんな貧しくなっているということです。特別な人はひと握りで、働いている人の大部分は年収が減ってきているのが日本の実態です。こういう状態を何とかするには、電気代、エネルギーコストというのが非常に大きな影響を与えます。
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