奥家 では、各エネルギー源はどういう位置づけなのでしょうか。
再生可能エネルギーは、二酸化炭素が出ないというだけでなく、国産なのでエネルギー自給率を上げてくれます。したがって、最大限導入を加速していきます。ただ、コストが高いことや供給面での不安定さもあるため、どう取り入れていくかです。
原子力は強みがあります。やはり安定性と馬力があり、電気をたくさん作れる分安いというメリットがあります。ただ、皆さんが不安に思っているのは安全性をどう乗り越えていくかということだと思います。そのために独立した原子力規制委員会を立ち上げ、世界で最も厳しい水準の規制を導入しました。ここで、安全性や規制水準を満たした原子力発電所については使わせてほしいということで整理をしています。
石炭は、二酸化炭素がたくさん出ますが、経済性、安定供給に優れています。日本は世界でいちばん優れた火力発電所の技術を持っています。日本で使うだけでなく世界の国々でも使ってもらい、石炭を使うときには二酸化炭素の排出量を世界全体で減らすと。それに日本の技術が貢献していく中で、もう一回評価したいと思います。
天然ガスにはいま非常に頼っていて、使い方を更に拡大していくことで、ますます重要な役割を担っていくことになります。
石油については、東日本大震災が発生したときに被災地の人たちが最後に頼ったのが石油とLPガスでした。ところが石油は毎年需要が減っていて、昔のイメージで作っていた石油の供給ネットワークが維持できるかどうか難しくなってきています。そこで、石油産業の経営体制を強化しようという方向を示しました。
省エネルギーについてですが、産業部門では乾いた雑巾を絞っている状態です。そこで、皆さんにもご協力をいただきたい。例えば日本の家は、省エネにあまり対応した形で設計されていません。他の国では、家を建てるときに省エネ基準に適合していなければいけないというルールがあります。いま私たちは、日本でも建物に省エネ基準の適合をかけることについて検討を進めています。
以上、ここまでお話しした方向で政策を進めています。

最後に一つ、川内原発と御嶽山の話を簡単にご紹介させてください。
あまりきちんと報道されていないので心配になりますが、川内原子力発電所は1.3万年前にあった桜島薩摩噴火に対応しています。その当時、積もった火山灰が12.5cm。川内原発は、15cm積もっても対応できるようになっています。実は、火山の噴火の爆発指数は国際的に8段階で管理されていますが、御嶽山の爆発指数はレベル2です。記憶に新しい雲仙普賢岳はレベルの1。マグマだまりが小さいわけですね。これに対して、川内原子力発電所で対応しているのはレベル6。ちなみに、レベル2とレベル6の差は10万倍です。
なお、桜島薩摩噴火より大きい噴火は、九州では9万年に1回発生していて、直近で起きているのが姶良噴火で3万年前です。このレベルの噴火は富士山がまるごと吹っ飛ぶくらいの、ものすごく巨大なものですが、数万年に1回しか起きません。「川内原発の30〜40年の運転期間内に火山が発生する確率は非常に低い」と規制委員会が判断したのは、このように科学的なバックグラウンドを踏まえたうえでのことだったわけです。
これについては情報があまりにも提供されていなかったものですから、この機会を借りて私からご紹介させていただきました。
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