北海道エナジートーク21 講演録

 
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エネフィーメール21
 
北海道エネルギー環境教育研究委員会

'11新春講演会『地球温暖化問題の今』
【第二部】 トークセッション〜求められる温暖化対策〜

(5-4)

COP16で、日本に成果はあったか

橋本  国際交渉といえば、昨年12月、メキシコで行われたCOP16はどのようにご覧になっていますか。

   

 COP16では、日本はよく頑張ったと思います。さっきご説明したように、京都議定書というのは、日本にとって大変な義務を負っている形での条約です。25%削減という数字について、諸外国からは「京都議定書という条約のもとで、ちゃんとやってくれるんでしょうね」という言い方をされているわけです。

澤 昭裕 氏  しかし、もしも日本が京都議定書のもとでやりますと言ったら、日本も大変なうえに、一番の問題はアメリカや中国に削減義務のない状態が今後も続くことです。さっき申し上げたように、全体の4割を占めている国々が何もやらない枠組みの中で、排出量たった4%の日本が25%削減を頑張っても効果が小さいのです。だから「別の枠組みでやるべきだ」ということを言ったのが、昨年メキシコでのCOP16なんです。

 最初は「日本はけしからん」と言われましたが、「でも、よく耳を傾けてみると、日本はそんなにおかしいことを言っているわけじゃない。確かにアメリカと中国がやらなきゃダメだね」という国がだんだん増えていって、最後はある意味引き分けの状態で終わったわけです。

 日本が国際的に孤立する危険があるにも関わらず、力でもなく、テクニックでもなく、大義名分のあることをきちんと述べて各国を説得していったという意味では、今回の日本政府の行動は称賛に値するやり方だったと思います。現地の交渉団の方たちはまったくスタンスがブレていなかったですね。

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エネルギー割当制の時代が来る?

橋本  もう一つ、どうしてもお聞きしたいのが、このままの政策でいくと、地方あるいは低所得の人の負担が増えるという点です。もう少し詳しく教えていただけませんか。

   

 例えば、皆さんが使っている電気について、自分でクーポンを買ってこないとそれが使えない、という世界を想像してみたらわかりやすいと思います。

 電気代にクーポン代が上乗せされるので、余計にお金がかかるわけです。そのときに、寒い地方や公共交通機関が発達していない地方に住む方や、年収に占めるエネルギー関連支出が多い低所得の方は、クーポンを買うときに感じる痛みや量が、大きいということです。

会場の様子  イメージとしては、エネルギーの割当制のようなものです。お金を払えば権利をもらえるわけですが、1クーポンでいくらと決まっているわけではなく、クーポンがほしい人が増えるほど値段が上がるしくみになっています。それが排出権取引のしくみです。その意味では、実際に私たちがいくら負担しなければならないかがわからない状況ですし、25%という厳しい目標だと、クーポンの値段がとても高くなってしまう訳です。このような状況を、もっと国民の皆さんに伝える必要があります。

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