澤
COP16では、日本はよく頑張ったと思います。さっきご説明したように、京都議定書というのは、日本にとって大変な義務を負っている形での条約です。25%削減という数字について、諸外国からは「京都議定書という条約のもとで、ちゃんとやってくれるんでしょうね」という言い方をされているわけです。
しかし、もしも日本が京都議定書のもとでやりますと言ったら、日本も大変なうえに、一番の問題はアメリカや中国に削減義務のない状態が今後も続くことです。さっき申し上げたように、全体の4割を占めている国々が何もやらない枠組みの中で、排出量たった4%の日本が25%削減を頑張っても効果が小さいのです。だから「別の枠組みでやるべきだ」ということを言ったのが、昨年メキシコでのCOP16なんです。
最初は「日本はけしからん」と言われましたが、「でも、よく耳を傾けてみると、日本はそんなにおかしいことを言っているわけじゃない。確かにアメリカと中国がやらなきゃダメだね」という国がだんだん増えていって、最後はある意味引き分けの状態で終わったわけです。
日本が国際的に孤立する危険があるにも関わらず、力でもなく、テクニックでもなく、大義名分のあることをきちんと述べて各国を説得していったという意味では、今回の日本政府の行動は称賛に値するやり方だったと思います。現地の交渉団の方たちはまったくスタンスがブレていなかったですね。
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