小崎 また、皆さんが気にされるのは「原子力の安全性」だと思います。原子炉と放射性廃棄物の安全についてお話しします。
今、世界では400基以上の原子炉が動いています。昔、ロシア製の原子炉がおかしなことを起こしてチェルノブイリ事故が起きましたが、泊発電所をはじめ日本の原子炉はしくみが違い、同じことは起きません。放射性物質を中にきちんと閉じ込められるよう設計されているので、安全に動いています。
放射性廃棄物の安全については私の専門分野です。簡単に説明させていただきます。

放射性廃棄物には低レベルと高レベルがあります。放射性廃棄物は、他の産業廃棄物と違う性質を持っています。それは含まれている放射能は時間が経つとだんだん減る点です。一般の産業廃棄物にはカドミウムや水銀、鉛などが含まれていますが、それらは何万年、何億年経っても性質が変わることはありません。
ですから、放射性廃棄物は年限を区切ることができます。例えば、低レベル放射性廃棄物の大部分は約300年置いておくと、問題のない程度まで放射能レベルが下がります。ちなみに、青森県六ケ所村では、この写真のような施設を作って低レベル放射性廃棄物を処分しています。
また、高レベル放射性廃棄物は地層処分を行います。これは、廃棄物をガラス状にガチガチに固め、がっちりした金属容器に入れて、地下300mより深い安定した岩盤に埋めるもので、数万年は放射能を安全に閉じ込めます。こうしておくと、放射能はそう簡単に地表に出てきません。逆をいえば、地下300mから地上にまっすぐに急速に駆け上がってくるような放射性物質を見つけることができれば、私もノーベル賞をもらえると思いますが、無理ですね(笑)。それくらい安全に処分できます。
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