奈良林 では、私からご説明します。

これは欧州の干ばつです。2003年と2006年、ドイツのドレスデンは熱波に襲われ、このように川が干上がってしまいました。気温は48度まで上がり、この2年間で5万人がヨーロッパで亡くなりました。私は、これは二酸化炭素の影響だと思います。だんだん気候が粗豪になり、南極や北極の氷が溶けています。
もしも「原発はダメ」と根絶やしにしてしまうと、真綿でゆっくりと首を締めるように、私たちは温暖化の影響を受けることになるでしょう。今までは温暖化防止に向けて一生懸命やってきたはずですが、原発事故が起きたことで、二酸化炭素削減をしなくていいわけがない。ですから、安全性を高める努力を徹底して、原子力を放棄しないという考えが私は必要だと思います。
女川でも福島でもそうですが、地震によって重要なものは壊れていません。受電設備の碍子が折れたということはありますが、重要なものが壊れずに済んだのは、きちんと耐震補強工事をしていたからです。飛行機は空を飛び、車は高速道路を走っています。技術をしっかり高めれば安全性は向上していきます。そうしながら、万一のリスクに対する備えを持っているということが一番大事だと思います。

また、ご紹介したいものとして、こういう原子炉があります。これは、万一の事故が起きたときに原子炉の中に水が流れ込み、自動的に原子炉を冷やすしくみです。ですから、消防車がなくても、原子炉が自分で冷やして事故を止めてしまう。水浸しになるので直すのは大変ですが、こういう原子炉が開発されていて、中国やアメリカで建設が始まっています。このような原子力発電所なら将来は都市近接立地も可能になると思います。
私は「今後は新規を認めない」という考えは間違っていると思っていて、安全性が担保できない古いプラントを新しいものに替えていくべきだと考えています。それで初めて安全性が高まります。そういう努力をやめてしまったら、老朽化したプラントを40年間、我慢して使い続けなければならない。ですから、今の原発ゼロ政策は非常に危険だと思います。

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