十市
私自身は、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーを開発していくことには大賛成です。ただし、それには時間もかかるのも現実です。そこで、ご覧いただきたい図があります。国はいま「エネルギー基本計画」の見直しを進めています。今年夏に出る最終報告でどういう数字が出るかはわかりませんが、私が考えるイメージを示したのがこの図です。

太陽光発電については、現行のエネルギー基本計画では2030年に5,300万kWという目標です。日本で太陽光発電に適した一戸建て住宅は約1,700万戸といわれ、そのすべての屋根に3kWのパネルを置くと5,100万kWなので、概ねこういう数字になります。
風力は1,000万kWです。大きな2,000kWの風車なら5,000基分です。いまは日本全体で200万kW以上の風車があり、その5倍なので相当な数です。
地熱についても、現在の52万kWを3倍ににしようという計画です。
問題は原子力ですが、原子力は事故が起きる前で約5,000万kW。日本では54基の発電所がありますが、定期検査が終わったものも再稼動できずにいます。動いているものはどんどん減り、いまは4基です。今年4月には泊発電所1基だけという状況で、このままではいずれ全部止まる危険があります。
再稼動も大きな問題になっていますが、私は安全基準をきちんと決めて動かせばいいと思います。2030年では、既設の原子力発電所は40年以内のものにし、島根3号機や大間など建設中のものについては安全対策を徹底強化して稼動させるべきだと思います。これにはもちろん、国民的合意や地域の皆さんの合意がないといけません。残りについては、40年を超えた発電所で安全対策を取れば大丈夫なものと、リプレースをするものを5,6基程度考えれば、2030年には3,000万kWで、いまの6割くらいに減るイメージを持っています。

そうした前提で考えると、2030年の構成比も変わってきます。省エネルギーに徹底的に取り組むことによって経済は1〜2%成長し、電力需要は10%ぐらい減らすというイメージです。相当な努力を必要としますが、電力需要は全体として減らすことができます。その中で原子力を23%程度にする。現行のエネルギー基本計画では53%ですが、これは大幅に減らさざるを得ないと考えています。
問題は再生可能エネルギーですが、頑張っても12%です。発電量の10%以上を太陽光、風力でまかなうのは相当大変です。稼働率が非常に低いので、あと半分はやはり化石エネルギーに頼らざるを得ないでしょう。 |