秋 元
プルサーマルについてお話しします。先週末、九州電力の玄海3号機に、プルサーマルの燃料であるMOX燃料が運びこまれる映像がテレビで映し出されていました。原子力発電所で普段使っているウラン燃料を装荷する風景と違いはないわけですが、燃料にプルトニウムを使っているというだけで、大々的に放送される。日本ではプルサーマルを特別視する傾向がありますが、先進諸国では何ら特別なものとして扱われていません。

この図は、各国でのプルサーマルの実績を示すものです。フランスでは国内の原子炉の3分の1くらいが、MOX燃料を使ってプルサーマルを行っています。また、反原子力国として知られるドイツでさえ、ほぼ半数の原子炉でプルサーマルを行っています。それでも特に社会的な問題は起こっていません。アメリカでも、フランスの技術を導入してプルサーマルを始めることになりました。日本での実績としては、重水炉の「ふげん」でプルトニウムを燃やしています。軽水炉と重水炉のしくみの違いはありますが、水で冷却する原子炉であるという点ではまったく同じです。日本のプルサーマルを語るうえでは、重水炉における実績も加えるべきだと私は考えています。日本はフランスやドイツに次ぐプルサーマル使用実績をすでに持っているわけです。
プルトニウムを燃やすことは、決して新しいことではありません。

この図をご覧ください。左の円柱はウランを使う原子炉の例です。原子燃料全体の約4%が燃えやすい「ウラン235」で、残りのものが燃えにくい「ウラン238」です。これを原子炉の中に入れて3〜4年使いますが、その間にウラン235はほとんど燃えてしまい、核分裂生成物に変わります。一方のウラン238はすぐに核分裂は起こしませんが、原子炉の中で中性子を吸収してプルトニウムに変化します。プルトニウムの一部は原子炉内で核分裂を起こしエネルギーを出しますが、使用済燃料にはいくらか燃え残りのプルトニウムが残されることになります。
だから原子炉で新燃料を燃やし始めたとき、そこから出てくる電気のほとんどはウラン235の核分裂によるものですが、3年くらい経った燃料から作られる電気は、プルトニウムの核分裂によるものが多い。平均すると、私たちが使う電気の約3分の1はプルトニウムの核分裂によって生まれています。この会場にある照明の3分の1も、プルトニウムによって作られた電気ということになります。プルトニウムを燃やすことは、珍しいことでも危険なことでもありません。

プルサーマルによっては、原子炉の中で生まれたプルトニウムを国産燃料として使っていくことが出来ます。エネルギーセキュリティーの上でも大事なことです。また、プルトニウムを余剰のまま置いておくと、テロリストなどに悪用される心配もあるので、プルトニウムはできるだけ早く燃やしエネルギーに変えてしまう必要があるわけです。
この図のように、ウランを1トン燃やすと、プルトニウムが11kg出てきます。使用済燃料からこのプルトニウムを取り出してMOX燃料を作り、プルサーマルで燃やします。
真ん中の図は、原子炉の3分の1をMOX燃料にして、残り3分の2にウラン燃料を使う方法です。これから泊3号機や玄海3号機で行われるプルサーマルも同じ方法で進められます。この方法では、燃えてなくなるプルトニウムとウラン燃料から生まれてくるプルトニウムの量がほとんど同じで、結局プラスマイナスゼロになります。日本の原子炉が全部この方法になれば、これからずっと発電をしても、日本で新しくプルトニウムが増えることはありません。
さらに積極的には「フルMOX」という方法があります。ウラン燃料を使わず、全部MOX燃料で発電する方法です。これは電源開発鰍フ大間発電所で計画されています。フルMOXを始められるようになると、ウラン燃料を燃やしたときにできる量の倍くらいのプルトニウムを燃やすことができます。つまり、いままでの原子力発電で発生して貯まってきているプルトニウムを減らしてゆくことができるわけです。
プルトニウムのリサイクルとしてプルサーマルを進めていくことは、核不拡散、エネルギー自給率向上、安全の面からも非常に合理的で、日本としてぜひやっていかなくてはならない道だと思います。
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