橋本 小沢さんがおっしゃる通り、日本には「原子力=原爆」という被爆感情がずっとあります。しかし、それについては分けて考えなければなりませんね。また、世界の中で日本はいまどんな状況になっているかについて政治家が国家目標を示していない。なぜかというと、選挙のことで精いっぱいだからです。
先ほどのお話のように、このままいくと地球全体がおかしくなってしまう。ただし、新興国には新興国の立場があります。「自分たちが発展するときは何も制限しないで、我々がいま発展しようとするときに押さえつけるとは何事だ」と。だから先進国も新興国も、お互いに譲り合わなければならないと思います。
また、原子力に関する国民への説明のしかたは、できるだけ具体的なほうがいい。太陽光は確かにクリーンなエネルギーではあるけれども、私たちがいままでのような生活をしている限りは無理なんです。将来に向けて推進していくとしても、当面どうしなければならないかを考えたとき、原子力に着目せざるを得ないのが現実です。
例えば日本の原子力発電所の稼動率を見ると、2009年は65%。1998年に85%でしたから、稼動率をそこまで引き上げれば、温室効果ガスの排出量は5%削減できるそうです。それから、2018年までに新設予定の原子力発電所9基をきちんと動かすことで、さらに3.5%削減できるそうです。
私たちがいまの生活を維持するならどうしたらいいか、その選択肢は限られていることを具体的に説明したうえで、エネルギー問題を解決するための道筋を示すべきだと思います。

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