増田 私の活動として、発展途上国の子どもたちを支援する活動があります。特に貧しい国というのは女の子を後回しにしがちで、まずは男の子に食事を振舞い、余ったら女の子。教育も男の子が先という考え方が根強くあります。だからこそ、女の子を支援しようと。この活動は、国際NGO「プラン・インターナショナル・ジャパン」の活動ですが、写真を見ながらお話しさせていただきます。

<ラオス>
2010年、タイのチェンライからメコン川を越えてラオスに行きました。山岳地帯に行くと、民族衣装を着た人たちに出迎えてもらいました。ここでは電気が通っていません。家はかやぶき屋根で、壁は竹や木で作られています。子どもたちは地べたで算数の勉強をしていました。子どもが10人ぐらいいる家族が多いです。この女の子は看護師になりたいという夢を持っているそうです。女性は勉強しなくていい、畑仕事をしていればいいといわれて育ちますが、お母さんはこの女の子の目標を叶えようと一生懸命でした。ただ、電気がないのでランプの下で限られた時間しか勉強できません。

水汲みは女の子たちの仕事です。「川の水を飲んではいけません」「人身売買に遭わないように気をつけましょう」という啓蒙活動が行われています。電気がないので、発電機を使って灯りの下で紙芝居や人形劇などで啓蒙活動を行っています。
私が子どもたちに「一緒に走るよ」と言うと、心を開いてくれました。仲良くなるには一緒に汗を流すことだと考えていて、私は子どもたちと必ず走ることにしています。
<トーゴ>
西アフリカのトーゴには2010年に行きました。トーゴのサッカーチームの女の子です。トーゴは国民の所得が年間5万円という貧しい国です。男女の差別があり、2008年からドイツの支援により女子サッカーチームを20チーム作って活動したら、男性が女性を応援してくれるようになったり、女性たちもこれまで小さな声でしか話せなかった女の子たちが大きい声を上げるようになったりなど、サッカーを通して自信を持つことができるようになったそうです。サッカーを通して男性も変わってきて、地域も元気になってきたということが評判だったので見に行きました。ここは電気が通ったばかりでした。サッカーのハーフタイムのときに、人身売買に注意するための啓蒙活動を行っていました。マイクを使って多くの人に伝えることができるようになったそうです。

ここは電気が通っていません。2000年ぐらいからドイツの支援が入り、診療所が作られました。しかし、清潔ではない設備が多いです。ドイツの支援で蛍光灯や冷蔵庫は設置できましたが、残念ながらまだ電気が通っていません。ある医師は「毒蛇にかまれてもワクチンを冷やすことができないので、町の医者に1時間ぐらいかけて移動してもらうが、患者が途中で亡くなってしまうこともある。早く冷蔵庫が使えるようになれば」と切望していました。道路の途中に電柱が準備されているのが見え、早く電気が通ればいいなと思いました。
<キリバス> こちらはキリバスの重量挙げの選手、カトアタウ選手です。この選手は競技後に不思議なダンスを踊ることで注目されました。その理由は、キリバス共和国は南太平洋の島国で、ツバルというサンゴ礁の島から近いのですが、地球温暖化が進んでこのままでは国土が水没してしまうということで、不思議なダンスを踊りながらその危機を訴えていたのです。
私たちは、子どものときから空気と同じように電気があるのが当たり前で、停電なども起きない中で育っていますが、夜にも勉強ができたり、啓蒙活動ができたりするのは、電気の力が大きいんだなと思います。電気のないところに行くとつくづくありがたみを感じます。
私は、子どもの頃から「電気教育」というものがあったらいいと思います。電気が当たり前にあるのではなくて、時にはサバイバルな電気のない生活を体験してほしいですね。そうすれば電気のありがたみも感じるでしょうし、電気エネルギーについて興味を持つことができます。また、キリバスのカトアタウ選手が身を持ってアピールしたように、地球温暖化についても、これからの環境をどのようにしていけばいいかについて考えるきっかけになるのではないでしょうか。
私のお話はここでおしまいにさせていただきます。ありがとうございました。
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