内山 再エネ特措法は、脱原子力の流れから法制化されたもので、同じようなことはドイツ、スペインなどでも既にやっていて、すべて失敗しています。実は私も批判的な立場でしたが、政治で決められたことなので、とりあえずやるしかないと思いました。ただ、この法律をよく見ていただくと、毎年見直すことになっています。ですから、うまくいかなくなったら改正する方向になります。
ご指摘のように、目的は国内自給率を高めると同時に、産業育成という大きな目標を掲げています。確かに高い金を払えばある程度導入されるわけですから、自給率はわずかながら高まるでしょう。しかし、現実にかなりの量は台湾や中国などの安い技術が入ってきてしまっています。そうなると、本来の産業育成になっておらず、結果的には持ち出しで中国や台湾の企業を育成しているところはあります。
これはドイツ、スペインもまったく同じ経験をしました。円安傾向になってきているので、日本がもっと「中国や台湾に負けてたまるか」となれば、また違うでしょう。法律は1年間動きますので、その中で様子を見て判断していくことになると思います。そういう点で、日本の底力を試す機会になっていると思います。
また、今日は再生可能エネルギーの話だったので原子力に触れませんでしたが、それを言い出すといくらでも話したくなります。ご指摘の点は私もその通りだと思います。
日本の原子力は世界一の技術を持っています。いろいろな面で対策は施していましたが、不幸なことに津波により全電源喪失という事故の事態に陥ってしまいました。ただ、今の流れとしては、津波ではなく地震問題になっていますね。あれだけの大規模地震があっても女川などは大丈夫でした。ですから、稼働しながらだって対策はできるのではないかと思います。
マスコミも多くの国民が、まだ反原発ムードです。だから、そういうことを言うことが何か悪者のような雰囲気があり、専門家も心の中では言いたくても、はっきり言えないというような状況が日本に作られてしまってると思います。
私も技術者の一人ですから、世界に冠たる安全な技術をこれを機にもう一度根底から考えて、世界に自慢できる技術開発をしていけばいいのではないかと思っています。そのためには、地道な努力を続けるしかないだろうと考えています。 |