北海道エナジートーク21 講演録

 
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北海道エネルギー環境教育研究委員会

’13新春フォーラム「再生可能エネルギー」の可能性と課題
【第二部】
座談会「再生可能エネルギーの可能性と課題を探る」

(9-1)

’13新春フォーラム「再生可能エネルギー」の可能性と課題【第二部】座談会 「再生可能エネルギーの可能性と課題を探る」
 

作家 高嶋 哲夫 (たかしま てつお) 氏
筑波大学システム情報系教授 産学リエゾン共同研究センター長 内山 洋司 (うちやま ようじ) 氏
エッセイスト 神津 カンナ (こうづ かんな) 氏
   

再生可能エネルギーの可能性と課題を探る

神津 今日はお寒い中をお集まりいただき、どうもありがとうございます。先ほどの高嶋さんのお話で、エネルギーについて全体的なことは意識共有ができたかと思います。そこで、この座談会では、再生可能エネルギーがどのぐらいの力を持っているか、それを高めていくにはどんな課題があるかについて具体的に考えていきたいと思います。

 東日本大震災から丸2年になりますが、私たちのエネルギーに対する考え方はもちろん、エネルギー政策も大きく見直しをしなければならないところに突き当たっています。それでも、電気事業者の方々の努力や、産業界・国民の節電の努力によって、電気が途絶えることなく我々が生活できているということは、やはりすごいことだとしみじみ感じます。

神津 カンナ 氏 ある途上国の方が「日本は豊かな国だ」と言われました。「原子力停止で電気が足りない分、3兆円でも4兆円でも油を買ってきて焚き増しをすればやっていける。貧乏な国なら絶対にこんな風にはいかない」とも言われました。

 地球温暖化対策として、前の民主党政権下では、元首相が「日本は温室効果ガスを90年比で25%削減する」という国際公約を打ち出しました。

 でも、現在これだけ原子力の代替として化石燃料を燃やしていますから、90年比25%減を達成することは現実的に難しいのではないか。かといって、皆さんの合意を得て原子力を再稼働する、あるいは新たに増やすことが可能かというと、これも難しい。3兆円、4兆円というお金を払い続けていけるかというと、経済もだんだん疲弊してくるので、これも現実的になかなか難しい。

 先ほど高嶋さんから連立方程式という話がありましたが、こういう難しい方程式をどうやって私たちは解いていったらいいか。非常に難しい選択が私たちに求められていると思います。その中で、例えば原子力の位置づけをどうするか、再生可能エネルギーを増やすために何が必要か、経済をきちんと回していくにはどんなことが大切なのかなど、いろいろな観点から考えていかなくてはなりません。

 そこで、今日は再生可能エネルギーにテーマを絞ってお話を進めていきたいと思います。まず内山先生に、再生可能エネルギーの現状についてご説明いただきたいと思います。

 

再生可能エネルギーの普及状況

内山 私は新エネルギーの導入に関する研究に30年以上携わり、なんとか社会に導入したいという気持ちでやってきましたが、やはり結論はコストの問題です。これをどう負担するかということに尽きます。そういう点で導入の難しさをしみじみと感じています。

 まず現状はどうなっているかについて説明させていただきます。

太陽光発電の累積導入量(総出力:67,350MW[2011年])

 これは、世界でも注目を浴びている再生可能エネルギー、太陽光発電の普及に関する最新データです。世界全体で67,350メガワットという導入量で、多いのはドイツ、イタリア。この2カ国だけで半分以上導入されています。次いで日本、アメリカ、スペインという順です。

 総出力を原子力に換算すると11基分です。世界には300基以上の原子力発電所があるので、4%程度の供給になっています。

風力発電の普及状況

 さて、風力発電は、設備量では太陽光発電の4分の1です。これが世界の普及量なので、太陽光発電に比べるとまだ多くありません。一番多いのはアメリカ、それから中国、ドイツ、スペイン、インドの順で、残念ながら日本は13番目の位置づけです。

主要国の電源別発電電力量の構成比

 先ほど高嶋さんのお話にもありましたが、これは主要国の電源構成です。国によってさまざまですが、世界全体では41%が石炭です。石油は非常に少なく5.5%、天然ガスで21.3%。全体の3分の2は化石燃料で発電が成り立っていて、太陽光や風力、バイオマスといった再生可能エネルギーの比率は、現状では2.8%です。

内山 洋司 氏 国によって電源構成はかなり違い、地政学的にエネルギーの位置が決まっています。中国・インドは石炭、カナダ・ブラジルは水力、フランスは原子力といったところが特徴です。ドイツは最近がんばっていて、新エネルギーを11.8%まで増やしています。その他の国は5%以下というのが現状で、再生可能エネルギーは主要なエネルギー源というところにはまだ至っていません。

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