1990年以降に増えた電化製品を捨てなさい
もちろん、国もいろいろやっていますが、一口に「温室効果ガスが増えた」といっても、日本の産業界では1973年、つまり35年前と比較しても温室効果ガスの量は全然増えていない。オイルショックのときに、国から省エネに力を入れるよう言われて一生懸命努力してきたので、それ以降は産業界では増えていないのです。
しかし一方、日本全体で非常に増えているのは、家庭・オフィス・運輸部門です。ですから、京都議定書で「温室効果ガスを減らしなさい」と言われているのは産業界ではなく、私たち生活者のことなのです。
今年4月からその削減期間が始まるので、国は産業界に更なる削減を求めています。産業界も必死ですが、生活者の私たちが何もしなくていいわけではありません。むしろ、私たちが何とかしなければどうにもならない。温暖化対策を人任せにしている場合ではありません。温室効果ガスの多くは、私たちが増やしているのと同じですから。
例えばエアコンは、1990年に比べると、ものすごい勢いで増えています。昔は各家庭に1台だったのが、いまは各部屋に1台。自動車も1台だったのが、いまは2台目に軽自動車があるというくらい、私たちの生活は変わりました。京都議定書では1990年比で6%削減と謳われていますが、それは私たちに対して言われていることだと思います。
詳しいことについては、このあとに講演してくださる石川迪夫先生がお話になると思いますが、極端な言い方をすると、「1990年から家の中に増えた電化製品を全部捨てなさい。さらにそこから6%のものを捨てなさい」という意味と考えていいのではないかと思います。
1990年というと18年前です。私たちの生活を18年前に全部戻す、果たしてそんなことができるのでしょうか。わが家で18年間に何が増えたかというと、エアコン1台、ほかにパソコンやプリンタ、スキャナー。それらをなくして生活していけるかと考えると、もう無理だなと思います。だとしたら、代わりに何か必ずやらなければいけない。捨てられない代わりに、すべての人が何かやろうと思えば、かなりのことができそうな気がします。
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